海外学会に参加しました(2018年10月19日、モスクワ)

更新をなかなかできず、自己管理のなってなさを痛感しています……。

2018年10月19日〜20日にモスクワ音楽院で開催された「Новая музыка: 50 оттенок авангарда(新音楽:フィフティー・シェード・オブ・アヴァンギャルド)」に「Агитационно-просветительная музыка в начале 1920-х годов: «Подлинный авангард?»(1920年代初頭の扇動・教化音楽―「真なるアヴァンギャルド」?)」という題で発表を行いました。
私がこれまで行ってきた、1920年代のロシア前衛音楽研究の枠を広げ、今回は同時代、前衛音楽に敵対する組織と言われてきたロシア・プロレタリア音楽家連盟(略してRAPM)について研究しました。
とりわけ焦点を当てたのが、1923〜24年の活動です。これは、RAPM(1923〜32活動)の最初期にあたり、同時にこれまでほとんど顧みられていなかった時期です。

彼らが単純に悪役であると考えられ、その活動が学問上ほとんど日の目を浴びてきてこなかった背景には、ロシア音楽の進歩(雑に申しますと、グリーンカ→強大な一団とチャイコーフスキイ→スクリャービン世代、というような流れ)を断絶したという彼らの活動に対するイメージがあるように思います。これは今から見ると、進歩史観の副産物なのではないか、という面も否めません。そもそも、RAPMがそれほど絶大な権力を握っていたのも、せいぜい2、3年ほどということが最新研究でわかっています。だからこそ、初期の活動や活動方針、実際に彼らによって想像されてきた音楽を今再検討することは重要だと考えています。
もっとも、彼らの活動によって犠牲になった、弾圧された音楽や音楽家もある・いることは確かです。その点しっかり慎重に言葉を選ばなければならないでしょう。今回の研究は今後ロシアで研究活動を行う際にも継続しようと考えています。
前回の記事ではサラッと触れるだけでしたが、徐々に「ロシア・アヴァンギャルド」という枠組みを再考しつつ、アウトプットにそれを反映することができているように思います。
引き続きがんばります。